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主な使い方(選定基準)

1)圧力の評価

 フレキは配管部品であり、漏れなく圧力に耐えることが、最重要事項です。他の耐久性とかの要素は二の次で、圧力に耐えなければ何の価値もありません。
 さて、圧力に耐えるとはどうゆう事でしょうか。
 漏れや破壊があってはならないことは当然ですが、フレキのフレキたるゆえんは撓み性があることです。撓み性は、波形状であることから生まれる特性ですから、圧力で、この波形状が変形してしまっては撓み性が損なわれてしまいます。つまり、フレキの耐圧性とは、撓み性を失わず、圧力に耐えることを言います。
 圧力が加わる時、最も高い応力の発生するのは波形谷部ですが、単純な梁のモデルでほぼ正確な変形限界が推定できます。一般的に最高使用圧力の1.5倍で耐圧検査が行われますから、変形限界圧力の2/3が最高使用圧力ということになります。これは、ブレードが破断しないという条件のもとでの話しです。ブレードの強度は内圧による推力を受け止めることができるかどうかによります。
 フレキの耐圧性を考えるときは、波形の変形限界、ブレードの強度の両方を比べ低いほうを採用すべきです。口径が小さいフレキは一般的に肉厚が薄いので波形が変形した後、破裂を起こして破壊するケースがあります。(ブレードが破断する前にチューブが破裂する。)
 つまり、ブレード強度だけの計算値で使用圧力を決定してしまうのは危険です。
 なお、最高使用圧力は破壊圧力の1/3から1/4以下に設定するのが一般的です。このとき、温度は材料強度を低下させる要因ですから、高温では、当然その影響を考慮しておくことが必要です。(引張強度の低下率を常温での最高使用圧力に乗ずる。)

2)作動配管における注意

 フレキは繰返し曲げの起こる場所でしばしば使用されます。その時、曲げ半径は繰返しによる寿命を左右しますが、カタログに掲載されている曲げ半径は寿命のある値を想定して設定されています。(通常1.0MPaの圧力条件下で3000回)
 この設定寿命より大きい寿命が要求される場合はカタログの繰返し曲げ半径で配管する事が必要です。客先の要求寿命に対しどの程度曲げ半径が必要かは計算上で推定が出来ます。
 寿命を推定するためには、動きにより波形部に発生する応力がわかればよいわけで。歪ゲージを用いて実測する事がもっとも確実な方法です。これは、非常に薄いフィルムの中に抵抗線を埋め込んだものでチューブの表面に貼り付けて使います。チューブが変形すると、この抵抗線も伸びや縮みが発生して電気抵抗値が変化します。これを電気的に取り出し歪を計測するわけです。
 しかし、すべての場合でこんな実測をするわけにはいきません。そこで何種類かの実験を行い理論的に導かれた計算式を用いて得られた結果と照合し、妥当性を検証した後、計算式で寿命予測を行うことにするわけです。
 もう一つ、作動配管おいて注意を要する問題はねじれの発生する配管レイアウトでないかどうかで、そであれば配管を変更することが必要です。ねじれが起こるのは、フレキが配管されている内面からはずれる動きがある場合です。
 フレキは曲げにより変位を吸収するものですが、ねじれが起きるとせん断が作用し、局部的に著しく高い応力が発生します。

3)振動配管

 加振源の振動を吸収し、接続する配管や機器に与える影響を少なくするのもフレキの重要な使用用途の一つです。
 フレキを振動配管で使用する時2つの観点から性能を評価する必要があります。つまり、振動に耐えるかどうかということと、振動をどの程度吸収しうるかということです。そして両者の場合に関連してくるのが共振という問題です。
 フレキはバネのような性質を持っていますのである特定の周波数で振動が拡大される共振という現象が避けられません。まず、フレキの耐振性という問題ですが、振動によりチューブ波形部に生ずる応力が材料の疲労速度(ステンレスの場合、約100N/mu)を超えると破損に至るとされ、その繰返し数は100万〜1000万回です。
 フレキの疲労破損を振動による応力という観点からとらえることは実験的に困難が伴います。そこで振動の加速度を、耐振性を評価するためのひとつの基準とします。一般の工業振動では加速度5gを超えることがまれですので実験的にフレキの耐震性を確認するときはこの加速度で実験を行います。
 振動吸収という問題は非常に多くの要素がからみ複雑です。特に伝達がわの質量の大きさ、固定の程度に影響されます。極端な場合、伝達側機器がアンカーで完全に固定されていれば伝達側質量はほとんど無限大といってよいので振動吸収は100%となります。しかし実際には完全固定はありえず、伝達側機器や配管もなんらかの固有振動数をもっているはずですのでいっそう複雑になります。

 振動吸収の目的でフレキを使用する場合、加振側の振動条件(振動数、振動加速度、振幅、振動方向)に関する情報を得た後、その条件で共振しない長さを選定することが必要です。
 フレキの振動特性を見るためには加振機に取り付け低サイクルから高サイクルまでを掃引し共振点を確認する方法が取られます。
 EJMAにはベローズの場合の共振周波数を求める計算式が提示されておりフレキの共振点(一般には1次共振点)、加振側機器の振動数2/3以下におさえるか、又は2倍以上にすることを推奨しています。ただしこの式は梁の振動についての式をベローズにおきかえているだけであり、また内圧が加わることによる剛性の変化を考慮していませんので精度の点では不十分です。
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