HOMEフレキシブルチューブ > フレキとは

フレキシブルチューブとは?

 ホースと呼ばれる配管部品が話題に上るとき、すでにぐにゃぐにゃ曲がるという性質を含んだものが想定されております。
 そして、すぐに頭に浮かぶのがゴムホースです。
 フレキシブルチューブすなわちフレキシブルメタルホースもイメージとしては基本的に全く同じです。
 ゴムホースはそれ自身が柔軟なためフレキシブルですが、金属はそれ自身硬い材質ですから波形を設けて、それによりフレキシブル性を持たせています。
 同じく波形を持ったものにベローズと呼ばれるものがありますが、これは比較的長さが短く波形が伸び縮みすることにより
変位を吸収します。
 これに対し、フレキは波型の曲がりにより変位や動きを吸収します。
 両者の境界線は厳密に区分けされているわけではありませんが、大まかに考えるとそれが区分けをするときの基準になります。

今日までの発達の経過

 フレキはヴィッツェンマン(Witzenmann)という宝石加工業者が金属を螺旋状に加工して配管部品として使うことを思いつき製品化したのが起源といわれています。したがってドイツがその発祥の地です。それは欧州各地また米国に広まり工業製品として広く使われるようになりました。
 フレキとして当初は銅や黄銅など加工しやすい金属が用いられていましたが、そもそも機械的強度が弱い、腐食を受けやすいという難点があり、広く普及はしたものの使用については十分注意が必要でした。
 フレキの応用分野のひとつにガス設備接続の用途がありますが、アンモニアや湿気の多い環境で割れを起こすトラブルが絶えず、現在ではステンレスに変わったという経緯があります。
 ステンレスフレキは従来使用されてきた他のホースの欠点を補うという形で用途が広がってきました。たとえば高炉で使用されているフレキはゴムホースの欠点(耐熱性がない、劣化があり突然のバーストが発生する等)を皆無にしたものです。その究極はランスホースと言えましょう。
 フレキの普及時代にもっぱら使用されたのは、スパイラルフレキでしたが、今後は金属との溶接組み立てが容易、溶接無しアッセンブリが可能等の利点のアニュラータイプが主流となります。しかも、柔軟性、耐久性の向上のためスパイラルよりも山高の大きい深絞りの製品が優勢となるものと予想され、この点では欧州の技術が一歩先を行ってる感があります。

構成要素と材料

 本体のチューブを構成する金属材料は、ほとんどがステンレスです。一口にステンレスといっても構成の違いによって3種類あります。
 すなわち、オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系ステンレスがありますが、もっとも耐食性がよく、食器にも用いられるのがオーステナイト系でこれがフレキの材料として一般に使用されます。
 スプーンの柄の所を注意してみると18−8という表示がしてあります。これはステンレスの成分であるクロムが18%、ニッケルが8%含まれていることを示します。後の約70%は何かと言いますとこれは鉄です。
 一般の鉄は空気中の酸素と結合して錆びが発生しますが、ステンレスの場合ニッケル、クロムが溶かし込まれているため空気中の酸素との反応で耐食性を維持する皮膜(不動態化皮膜)ができ、これが錆びにくい性質を生み出しています。少し厳密に言うと、酸化させようとする環境には強いといえます。(硝酸等酸化性の酸には耐えますが還元性の物質には耐えません)この耐食性も万能ではありません。
 この皮膜を選択的に破壊する物質があります。それは塩化物で、きわめて短期間に穴をあけてしまいます。塩化物の例としては、海水、食塩、漂白剤、塩素系消毒剤などです。
 オーステナイト系ステンレスにも種類のあることに触れておきます。
 先ほど18−8ステンレスとして食器の例を出しましたが、これはJISの分類で SUS304と呼ばれる鋼種です。これが広く用いられていますが、フレキの材料としてSUS316L、SUS321という材料もときどき使用されます。316L材はモリブデンという元素を含みかつ炭素の含有量を304鋼より低くしたもので、耐食性の要求される用途に使用されます。また321材はチタンを含みより高温での使用に耐えるようにしたものです。
 ステンレス以外には銅、黄銅、またステンレス以上の耐食性を要求される用途にはハステロイ、更に高温の条件にはインコネルも使用されます。海水や、塩素配管ではモネルが使用されることがあります。

代表的な構造

波のついたチューブ各部の呼び方は以下の通りです。
内径
波形のもっとも内側の直径
外径
波形のもっとも外側の直径
ピッチ
山頂から山頂(または谷底から谷底)間の距離
山高
波形の波高さ
平均径
山頂と谷底の丁度中間の径
板厚
材料の厚み
次の言葉はチューブの名称ではありませんが、品質を議論する場合にしばしばよく使われる用語です。
偏肉
加工により起きた材料の板厚の変化
※一般的には薄くなる場合を言います。
(減肉)÷(もとの厚み)の値を%表示で示します。
小さいほど加工の程度が小さく品質は良いとされます。

トラブルシューティング

 フレキの使用現場でのトラブルの統計をとると60%が疲労による破損、残り40%が腐食その他になっています。

破損疲労

 金属が疲労により破損する場合、2とおりありそのひとつは低サイクル疲労とよばれるものもうひとつは高サイクル疲労です。
 低サイクル疲労は文字とおりゆっくりとした頻度で大きな変形が繰返される場合で、簡単な例としては軸のまわりに左右曲げつける動作を繰返すような場合です。金属材料を変形させた場合、その程度が小さいと、またもとに戻りますがこれは弾性範囲にあると言います。しかし、一旦、その範囲以上の変形を加えると幾分かはもとにもどりますが、針金を曲げたときのように変形したままになってしまいます。これは材料が塑性域に入ったと言います。この段階ではもとに戻らない変形(歪み)が起きてこの動きが繰返されると歪みが推積し、ついに折れてしまいます。
 フレキの疲労破壊も基本的にはこのメカニズムのとおりのことが発生しています。実際に使用される現場で、このような可能性があるのは、どんなケースでしょうか。
 製鐵所の酸素吹き込み用ホース(ランスホース)はU字形状に配管され一端が垂直に上下します。同じく製鐵所でケーブルベアという装置があり、これは水平に一端が移動します。また合板製造用の多段プレスではスチーム配管用フレキが同様の動きをします。これらは最初から動きがあることが承知のうえであり、その配管レイアウトもわかっているので寿命についても予測ができ、破損に至る前に定期交換して事故に備えることが出来ます。
 しかし、このようなケースでない場合がもっともやっかいで少なくとも仕様決定の段階ではユーザー側に予測も出来ないケースがあるのです。そのひとつの例は内圧変動による伸びの繰り返しです。フレキの両端が固定され内圧変動があると、フレキには伸びが発生し、これが横方向への張り出しとして現れます。フレキ両端の金具付近は曲げが繰返されるため破損が起きる結果になります。多くの場合はチューブの谷に円周方向の亀裂が発生しますが、ブレードが先に破断することもあります。この場合はチューブが伸びきって横方向へ大きく張り出します。また、注意すべきことは、ねじれがなかったかどうかです。ねじれがあるとチューブにせん断方向の力がかかり、局部的に過大な応力が発生してしまう可能性があります。
 高サイクル破損は振動により起こります。振動が過酷すぎるのではないか、共振はないか、振動がフレキをねじる方向に作用しているのではないか等の条件をひとつずつつぶしていくことが必要です。そのためには使用現場での状況(振動加速度、振幅、周波数、固定条件、最も大きい成分をもつ振動の方向等)を出来るだけ詳しく聞くことが大切です。
 一般には振動に対しては、ばね性を保持した未焼鈍フレキが適しています。加工により疲労限度等機械的強度が向上しているからです。

腐食によるトラブル

 フレキでよく発生する腐食のトラブルとしては、孔食、応力腐食割れ、粒界腐食、全面腐食があります。

 孔食は塩化物の存在下で80℃前後が最もおこりやすいとされています。ステンレス鋼の表面は不動態化皮膜で覆われていますが、塩素イオンはこの皮膜を破壊し局部的にアノード(陰極)が形成されます。アノードの面積はカソード(陽極)のそれに対しきわめて小さいのでアノードにおける電流密度は非常に高くなり反応は加速的に進行し腐食孔は短時間で貫通に至るというわけです。
 興味のある人は家庭用漂白剤を使って簡単な実験をする事が出来ます。漂白剤には次亜塩素酸ナトリウムが含まれていますので、この液にフレキを浸しておけば1晩で穴があくことが体験できます。そして穴のあく場所は丁度、液面付近になるはずです。その場所は空気に触れて酸素が供給されやすいからです。
 酸素も腐食とは深い関係があります。塩素イオンを含む液としては海水がありますが、専門のエンジニアでもステンレスが海水に耐えないことを知らない人がいるのは意外です。
 塩化物による孔食の例で多いのは重油による腐食です。重油を海からくみ上げるとき海水が混入し、腐食を引き起こすのです。身のまわりでは水道水中の塩素イオンが原因となる例もしばしばあります。対策は316L材、モネル材、ハステロイに変更する事が考えられますが完全ではありません。ハステロイは316Lにくらべこの種の腐食に対し寿命は約3倍と言われています。完全な対策をしようとすればチタンかプラスチックと言うことになります。
 応力腐食割れは塩化物と引張り応力が同時に作用している環境下で起こり、割れの断面を見ると樹枝状の割れが見られるのが特徴です。引張り応力は加工、溶接等による残留応力が原因で、応力除去熱処理で対策をすることができます。ただし、応力腐食割れが起こるのは相当腐食環境が厳しい場合が多く、熱処理だけで解決できるケースは多くありません。
 粒界腐食は鋭敏化が起きて金属組織が変化した状況で希硫酸等の腐食環境下で発生します。鋭敏化により粒内のクロムは炭素と結びつき粒界に析出するため、粒内は極めて耐食性の低下した条件になります。そこで腐食環境があると結晶粒が脱落する現象を伴い腐食が進行します。しばしば起こる例として排気ラインで、ガス中の亜硫酸ガスが管内に残留した水分と化合して硫酸となりフレキを腐食するケースがあります。対策としては材料を321に変更するしかありません。
Copyright © 2002 Sanko Allrights reserved.